先ほどまで晴れていたというのに、今の空は今にも雨が降り出しそうなほど雲がかかっている。
「まったく、人が探しにきてやってるっちゅーのに、どこにおるんや!」
先ほどまで授業に出ていたというのに、鳴海先生の授業になったとたん消えていってしまった棗の捜索のために、蜜柑はワザワザ外まで探しに来ている。
「大体、先生も先生や!パートナーはこういう事するなんて一言も聞いてないわっ」
愚痴を言いつつも、蜜柑の体は棗を探そうと足を進めている。
「なつめー何処にいんのやー」
早く見つけなくては、雨にふられてしまう。そう思うが、こんな時に限って探し物というものは見つからないのが王道だ。
ふと、木が蜜柑の目に飛び込んでくる
「そうやっ!」
木の上で寝ている可能生もある。
蜜柑は探しながら木の上まで目を届かせる。
「棗いーひんなぁ・・・あっ!」
顔に漫画本をかぶせ眠いっている人を発見した。あれは、棗だ
「なつめっ!!何しとるんやっ!授業サボって」
「うるせぇ、水玉。ギャーギャー喚くな。安眠妨害しやがって」
「なっ・・・何時までも何時までも水玉みずたまてっ!」
ポツン。
蜜柑の髪の毛に一粒水滴が堕ちた。
「・・・?」
雨でも降ってきたのだろうか。そう思うと同時に、雨は少しずつ多く、強く降り始める。
「雨、降ってきたで!? 棗、早く教室もどらなっ・・・くしゅんっ」
突然降り始めた雨の所為なのか、雨と同時に寒さまで地に下りてきたようで、蜜柑は思わずくしゃみをした。
「さむっ・・・」
「・・・・」
棗は寝てはいたが、曇りかけた時点で濡れるのを予想して濡れてもいいかと思っていた身なので別に構わないのだが、蜜柑はそうではないのだろう。
濡れる前にさっさと教室に帰りたいと思っていたのだろう
「くしゅんっ! あーさむ。さ、棗帰るで?」
そう言ってすぐ、今日は素直に棗が木から飛び降りてきた。
素直に降りてくる棗に、不思議な事もあるもんやなぁと、蜜柑が感心する。
そう思ううちにも、雨に濡れ続けているわけで、大量に降り始めた雨は木の上に居た棗より、蜜柑の方が多くあたってしまい、髪の毛はもうしっとりと濡れてしまっている。
「・・・・なっ!」
棗が蜜柑の手を掴むと、そのまま歩き始める。
こんな事は初めてだ
「棗、なにするん!?」
「・・・・」
棗は何も言葉を発しず、そのまま歩き続け、あれよあれよと引っ張られるうちに、棗の部屋へと来ていた
「・・・使え」
「あ、ありが」
手渡されたかと思うと、押し付けられたタオルに、言葉をさえぎられる。
男の子の部屋だというのに綺麗に整えられたシンプルなその部屋は棗らしさを感じた
突然の行動に驚き、蜜柑は言葉を発せずに居た
「なんで・・・・」
「はい?」
全然喋ろうともしなかった棗が口を開いた
「お前、なんでさっさと帰らなかった」
何時もより低い声で蜜柑に問う。それを怒りだと蜜柑は気づいては居ない。
「なんでって、ウチ棗のパートナーやし、先生に棗つれてきてって・・・・あー!!!」
『蜜柑ちゃん、棗君、探してきてね♪』
鳴海先生に言われた言葉が頭の中をよぎる。突然の出来事に思い切り蜜柑はそれを忘れていた
「ウチ、棗を連れて来いって言われてたんや!それにまだ授業中やっ」
「・・・俺はサボる。授業行くならさっさと行け」
不機嫌になった棗は乱暴に蜜柑を引っ張ると部屋の外へ出す
「なにすんのやー!」
蜜柑の怒った顔が頭に浮かんでくるが、不器用な彼にはこういう態度しか取れない。
「・・・さっさと行け、み・ず・た・ま」
「なんや何時も何時も水玉水玉って!!!知らんわ、イヤミギツネ」
先ほどの自分の行動が不可解でならないと思う棗はベッドに寝転ぶと目を瞑る。それは彼女を心配したからなのだが、本人は気づかない。
目を瞑りながら、蜜柑の足取りが遠ざかるのを聞き、また違う感情に襲われる。一体なんなのだろう
蜜柑の方は、タオルを受け取った時にでてきたその不思議な感情を喜びだとは気づかず、追い出された怒りに溢れている。
不器用な二人が互いの気持ちに気づくのは・・・・まだまだ先なんだろう。
あとがき―――
なんか書きたくなりました、あとがき
一体何がしたかったんでしょう。つかホントはラヴにする予定だったんですけど、急遽変更
てか一体なんだろう。付き合う前のなつみかんで、棗も蜜柑もまだコイツの事なんて嫌いだーって思い込んでるけど体は自然と心配しちゃうっていうのを書きたかったんですけど・・・
兎も角、棗は自分のとっさの行動に少なからず動揺してると良い。蜜柑の方も棗の行動に動揺してると嬉しい。
互いに不器用だからねー
なつみかん大好きな私としてはこう、もっとラヴにしたいんですが私の性格上無理でした。
そしてこれ続き思いついたので次はラヴにしたいなぁーと思いつつ・・・