「ウチが学園に来て、正式に入学した時、棗は“自分の足で学園に来た事 これからせいぜい後悔すんだな”って言っとった。せやけどウチ、全然後悔なんてしてへん」
そういえばそんな事も言ったと今更ながらに思い出す。
「確かに、事件とかいろいろあった。知らなくていいことも知ってしまったかもしれへん。せやけどウチは後悔なんてしてへん。何も知らないほうがウチは嫌や」
蜜柑の言葉が自分の心にぐさぐさと突き刺さる。その言葉を言った本人である棗は、今では蜜柑がこの学園に来てくれた事を感謝していたからだ。
彼女が居たお陰で、救われた。蜜柑が、笑顔でいてくれるだけで心が洗われた気がした。
「学園の皆に会って、学園生活送って・・・何より棗に会った。棗の苦しみを共有できた。ウチは、それで満足や」
「・・・みかん」
「棗、ありがとうな。棗が居て、蛍がいて、ルカぴょんが居て・・・ウチこれからも皆で」
「ありがとう」
「な・・・なんや棗。どうかしたん?」
「どういう意味だよ」
「棗がありがとうて、熱でもあるんちゃう?」
驚いた顔をしつつ、ニッコリとうれしそうにこちらを向いてくれる
その笑顔に今も尚救われている
「・・・嘘や。棗が優しい事もちゃんと知ってるで。今のウチは、やけどな」
ちょっと前のウチはそんなの全然わからんかったけどな
そうつぶやく声が聞こえるが、彼女のその言葉にどれだけ救われているのだろう
「・・・また・・・また苦しい思いするかもしれねぇんだぞ」
「かまわへんよ。棗と一緒なら、平気や」
・・・即答かよ
口元が思わず緩む
お前の言葉に
お前の表情に
こんなにも救われている