今の自分にとってスペシャルという地位は孤独だ

対して勉強もできないのに、学校をまとめるなんていう行為できるような自分ではないのに、幹部生なんていうポジション、必要無い

「・・・佐倉さん、昨日はごめんなさいね」

パーマが蜜柑の星階級を知った途端おとなしく黙り込んだ

たぶん、記憶がまだあれば幾らスペシャルになったところで態度は変わらなかっただろうなぁと蜜柑は思う

正田スミレことパーマという人はそういう人だ

「いいよ。私も気にしてないから」

パーマのこんな態度、すごく嫌だ

こんな風にしてしまったのも自分の責任だと思うとものすごく罪悪感に駆られる

だけど、そのお陰で彼女達がこうして生きて自由にしてられるのだと思うと自分への彼女の態度は気にせずにいるしかないと感じた


「佐倉さん、今日は能力別授業の日だよね。佐倉さんはどこのクラスなの?」

「私達、技術系なんだー」

野乃子ちゃんにアンナちゃん。彼女達は初等部の頃から変わっていないのか、すぐに話しかけてくれた

彼女達と一緒に居るのも何故だか苦しくなるけど助けられる一面でもある

「あぁ・・・私は特別能力系なの」

「そうなの?珍しいアリスなんだね」

二つもアリスを持つのに、その能力はどちらとも特別能力。潜在能力、技術、体質のどのクラスにも属さない

「・・・じゃあ、そろそろ私特力の教室行くから」

「うん、またね佐倉さん」

自分のアリスはもう必要の無いもので

とくにこの二つ目のアリスは

「・・・佐倉さん」

「っ!?」

後ろから、声が掛る。やはり嫌な気分になる。彼女に苗字で呼ばれるのは

どうしても苦しくて。分かっているのにこんなにも苦しくて

「隣の部屋なのよね?だから一応話しておこうと思って。隣に住む人とは仲良くした方が気分が良いものね」

「・・・・そうだね。よろしく、今井さん」

蜜柑って呼んで。バカって、文句を言ってよ

蛍、蛍・・・!

蛍は、こんなんじゃない。

自分の知っている蛍は――――

「っ・・佐倉、さん、何で・・・」

「っ・・・!ごめ・・・ウチ・・なんでもあらへんっ・・・」

分かっているはずなのに、なんで涙が出てくるんだろう

ただ、呼ばれる名前が苗字になっただけじゃないか。それなのに、なんでこんなに




辛い、の・・・?




悲しい、の・・・?




その場にとどまる事が出来ずに、走って逃げる

やっぱり、無理じゃあないか














「・・・あの子」

佐倉蜜柑なんて子出会ったばかりなのに、彼女の涙を見た瞬間どうしようもなく泣いてほしくないと思った

あの子の涙を見た瞬間、胸が締め付けられた


泣いてほしくなんて無い

笑ってほしい


対して関わりが無いはずなのに、そんな風に思った。