何も接点のない奴の事なのにこんなにも苦しいのは何故なのだろう
接点の無い彼女が、他の人に抱きしめられているのを見て酷く傷ついた自分は何だろう
裏切られたような、騙されたような・・・。そんな感覚に襲われる
「・・・・っ!」
偶然見てしまった彼女は、泣きながら高等部の生徒に抱きしめられていて・・・。
苦しくて、苦しくてたまらない
何でこんな風に思うのかも全く持って分からない
先ほどの場所にいられずに、何時もとは違う別の木陰を見つけるとそこに座り込む
「棗くん」
「・・・ナル」
そこに座ってから数分すると、突然近づいてきた鳴海に話しかけられた
突然の教師の出現に思わず眉を寄せる
「そう不機嫌そうな表情をしないでよ。今日は君にお願いがあってきたんだ」
うさんくさい
そう思うと立ち上がり、歩き出そうとする
「・・・君のためでもあるんだ。ただ少しでいい。初等部のことを思い返して欲しい。何故かは言えないけど、初等部であった出来事を全部思い出して。そして疑問を見つけて欲しい」
鳴海のその言葉を聞くなり早急にこの場所を立ち去ろうと、歩き出す
だが鳴海はそのあとを着いてく気は無いらしく、後ろから足音は聞こえてこない
何が初等部だ
初等部と言ったら自分が任務で働いていた事くらいしか覚えが無い
何でそんな事を思い出さなければならないんだ
そう思うと、棗は絶対に静かになれる自室へと向かった