近寄れなかった

倒れてしまった彼女達に触れるのも躊躇われた

「・・・蜜柑ちゃん、どこに行くんだい?」

「っ・・・!」

鳴海先生の言葉が聞こえてきたが、足は止めずに走る

自分が現れたから、皆を不幸にしてしまった


もうあの光のあたる場所に出てはいけないのだ

闇の人間にしかなれないのだ


唇をかみ締めながら、気づいたら今まで自分が暮らしていた宿舎まで来ていた

ふと元自分の部屋を見ると、その部屋は自分が居た時のまま残されていて、その後人が入った形跡が無い


そもそも、ここの存在を知っている人はたぶんもう居ないだろう・・・


光の世界に戻れない自分は、闇の人間でいた時に暮らしていたこの場所にしか居られないんだ








「・・・・ごめんなぁ・・・みんな」



自分の所為で、苦しむハメになってしまって

だから、思い出さないで

思い出してくれなくてもいいから

君達が苦しまないなら、それでいいから





最初からそのつもりで自ら闇に入った





だから・・・だからもう思い出そうとしないで

もう目の前に姿を現さないから