蜜柑が見つかった
その知らせを聞いて、自分達が駆けつけると蜜柑は死んだように眠っていた。
頭に巻きつけられた包帯
腕に、足にも巻きつけられた包帯
点滴
おまけに栄養失調
痛々しいその姿に、唖然とし、いままで見つけられなかった自分達が忌々しかった。
数日前まで立って歩いていた蜜柑を見ていたのに、こんなになるまで見つけることが出来なかった自分達の不甲斐なさに苦しくて、やるせない思いでいっぱいだった。
状況から言って、蜜柑は自ら自分の体を投げたのだと聞いたときは息が出来なくなるほど苦しくさえ思えた
大切な人がこれほどまで苦しめられることに、記憶を失っていたという理由だけで気がつくことができなかったのだ
「・・・蜜柑」
目を覚ましてくれ
棗はそう願いながら、蜜柑の手を片時も離さずに願っている。
何時もは取り乱さない今井蛍も今回ばかりは棗が握り締めてるのと反対方向の手を握り締め、片時も離さないで居る。
蜜柑を見つけたのは、周瑠衣と自分達の記憶を操作していた記憶のアリスの持ち主だ。
彼らは今までの蜜柑の行動をしっていて、彼らだけが蜜柑が元住んでいた宿舎を知っていた
自分達の記憶を操作し、呪いをかけていた彼らに怒りの矛先をむけかけたのを翼が止めてくれ、すべてを鳴海に聞いた
なぁ蜜柑、起きろよ
言いたいことが沢山ある。
「・・・み、かん・・起きなさいよ・・・」
小さな呟きが聞こえ、ふと見上げると、いつも感情的にならない今井が目に涙を浮かべながら祈るように蜜柑の手を握っていた
微動だにしない蜜柑を見やる
・・・・どうして、おきないんだよ
胸が、苦しい
呼吸が出来ない。
言いたいことが、あるんだよ
想いは全く届いていないかのごとく、蜜柑は微動だにせず、指一本動かさなかった。