「蜜柑」
「よーちゃん、今日も中等部に遊びにきたんかいな」
当たり前のように遊びに来る陽一に、蜜柑はニコニコ笑いながら話しかける。
陽一はそれを見て、一瞬嬉しそうに微笑む
「棗なら、もうそろそろ帰ってくると思うで?」
「違うよ。今日は蜜柑に会いに来たんだから」
「はい・・・?」
よーちゃんは無邪気に微笑むと、当たり前のように蜜柑に抱きつく
「よーちゃんどうしたん?」
蜜柑も嬉しそうによーちゃんの頭を撫でる。
「どうもしてないよ。僕は蜜柑に会いに来たんだから」
「またー。そんなん言われたらウチうれしいわぁ」
「・・・蜜柑」
棗の不機嫌そうな声が、後ろから聞こえてきた
「あ、棗やん。今よーちゃん遊びにきとってな、あそんどったんや!」
不機嫌そうなその声を気にすることなく蜜柑は棗に話しかける。不機嫌になるのはいつもの事や。蜜柑はそう考えていた
蜜柑が棗に近づと、よーちゃんはその瞬間さりげなく蜜柑にもっと密着した
棗はそれに気が着いてか、先ほどから寄っている眉間の皺を増やす
「なんや棗、相変わらず機嫌わるそうやな。よーちゃん来てるって言うのに、その皺はな」
「・・・来い」
いきなり手を引っ張られて、蜜柑は喋っていた言葉を中断する。
「よーちゃん、遊ぶんはまた今度な」
よーちゃんをおろし、言葉を放つと棗になされるがまま引っ張られていく
「どこいくん、棗」
引っ張られている間、話しかけても返答は無かった。どこまでも、引っ張られながら歩いていく
「・・・っ!ちょお棗、痛い」
「・・・悪い」
引っ張られた腕は、棗自信思っていたよりも強く、蜜柑も最初のうちはガマンしていたがその手はだんだん強くなっていき、ガマンできなくなって声を漏らす
手を離した場所は赤くなっている。
「・・・どうしたん、棗」
蜜柑は棗に何か文句を言ってやろうと思ったが、赤くなった腕を見た棗が蜜柑の思っていた表情と全く違い、酷く申し訳なさそうな表情をしていたから、文句を言う気も失せてしまい、怒ることも無く聞いた。
「棗らしくないやん」
「悪かったな・・・」
「どうしたん?なんか、あったん?もしかして・・・また任」
「・・・・だよ」
顔を反らしながら言葉を発した棗に、蜜柑はボーゼンとする
「今、何て」
「嫉妬したっつってんだろ・・・」
「・・・抱っこしてたのよーちゃんやで?」
「てめ・・・俺にこれ以上言わせるのかよ」
何時もは蜜柑が抱きしめられるのに、棗が蜜柑の腕の中に入り込んで来た。
「え、ちょ・・・棗!?」
こうすると、棗の顔に胸が思い切り当たるわけで・・・
思いついた途端、蜜柑はパニックになる
「陽一は良くて、俺はだめなのかよ」
目を大きく見開いた蜜柑は、声が出なくなっていた。
そして蜜柑はそのまま棗の頭を抱きしめ、棗の頭を撫でた。
「・・・うち、こんなことすると怒る思ってたで?」
「んでだよ」
「棗、こーいうの嫌いそうやん。それに・・・」
棗がふと顔を上げると、蜜柑が恥ずかしそうに顔を染めている
「・・・めっちゃ、恥ずかしいやん」
それでも嬉しそうに微笑む蜜柑に、棗も笑みがこぼれる
「・・・にーちゃんだけじゃなくて、蜜柑もにーちゃんにべた惚れじゃん」
「よ、よーちゃ」
「僕の入る隙なんて何処にもなかったね」
物陰から出てきた陽一は、二人をみると少し悔しそうに言ってきた
「にーちゃん」
陽一は棗に近づくと、蜜柑に聞こえないくらいの大きさで言葉を放つ
“でも僕、諦めないから”
「・・・そーかよ」
「なんなん?ウチにもおしえてや!」
蜜柑はわけが分からないといった風な表情をして、二人を交互に見る
「・・・またね。にーちゃん、蜜柑」
「あ、うん。またな、よーちゃん」
当たり前のように立ち去る陽一の背中を見ながら、二人は顔を見合わせる
「なんやったんやろーな、よーちゃん」
「さーな」
そのまま立ち去った陽一を見ながら、蜜柑は不思議そうな表情をする。
ライバル宣言かよ
棗はそう思いながら、蜜柑をみやる。俺もコイツは手放せねーよ、陽一。
「ウチらもそろそろ帰らないとあかへんな」
「そーだな」
当たり前のように手を繋ぐと、二人で帰路に着いた。
「よーちゃん、またきたんかー」
「蜜柑〜」
その数日後、また同じように陽一が遊びに来て、蜜柑にじゃれていて・・
先が思いやられる
それを見ていた棗が大きなため息をついたのは、彼の隣に座る金髪の少年しかしらない。
――――あとがき―――――――
ライバルってネタで書いてたはずが途中で話それそうになって無理やり戻した感じでちょっと微妙だったかもしれない。
でもこの話は題名みた瞬間思いつきました。
ライバル出現!なんだから流架はもともとライバルだしないだろう。だったらよーちゃんだ!って思いました
ついでに、二人が付き合ってる時点で流架ぴょんは二人のことを認めてる設定も私の中ではあります(どーでもいい
大体この小説での設定だと
蜜柑たちが中等部の14歳くらいで、よーちゃんが6歳かな。
まだよーちゃん初等部A組っていうね。すごい離れてるねー