その日から、周りで今後のお話が妙に聞こえてくるようだった。皆はけっこう真剣に今後の事を考えているのが分かってきた

そしてそれは結婚も例外ではなく、他にもアンナちゃんだけでなく結婚するという話は多く聞いた

ソレを棗と一緒に居る時に聞いているから棗が聞こえていないわけは無いのだとは思うのだけど・・・

しかし、蜜柑は他の事なら聞けるのに、結婚に関する事はどうしても聞く勇気が無く、何も聞かないで居た

そして結婚は、の話というのはアンナちゃんよりももっと身近な人も例外ではなく・・・

「蜜柑、話があるの」

「蛍・・・?」

蛍に呼び出され、二人で居た

何時に無く真剣なそのまなざしは蛍が蜜柑にいつもするものとは全く違っていて、緊張してしまう

「私、流架と結婚する事にしたから」

「・・・ほんま?おめでとうな!」

一瞬戸惑った。だけど純粋に自分自信、嬉しくなった

自分の大好きな親友の倖せだ

「ほんま、よかったな。ウチ、お祝いするな!」

すごい昔の蜜柑は抱きついてきただろうが、純粋に喜ぶだけの蜜柑に思わず蛍は笑いかける

「ありがとう、蜜柑」

「蛍、ルカぴょんに幸せにしてもらうんやで?」

ニッコリ笑いながら蜜柑は蛍に言う。

その後、蛍と蜜柑は久しぶりに仲良く二人で買い物をして、その日は寮に戻った




「棗ー?」

「・・・なんだ」

何時も通り、蜜柑は棗の部屋に来て、くつろいでいた。

そんな中、蜜柑は思いついたように棗を呼ぶ

「今度、セントラルタウンいかへん?」

「・・・何時だ?」

棗がこう聞いて来るときはOKのしるしだ。蜜柑は思わず笑顔になる

こんなの何時もそうだけど、蜜柑はこの棗の行動に、いつも喜びを覚える

「今度の日曜日はどうや?」

「そうだな・・・日曜日なら予定はいってなかったな」

「なら決定や!」

ニコニコとしながらカレンダーの次の日曜日に○付ける蜜柑を見ると棗は微笑む

最近、クラスメイトが結婚やら同棲、進学やらを卒業後にするという話を良く聞く。

自分も最初はその気で・・・棗の机の奥底に、買ったその時のまま、眠っている。

半年も前に用意したソレ、エンゲージリングを渡すのを、棗は躊躇っていた。

「棗、どうしたん?」

「・・・なんとなくだ」

「なんやそれー」

棗は蜜柑に後ろから抱きつく。結婚して、コイツを倖せにさせる事が出来るだろうか。

自分のアリスの能力のかたちは、命を削ってしまうタイプだ。長い事良かれと思って使ってきたそのアリスのために棗の体はそこまで丈夫というわけではない。

無理してアリスを使っていたその体が今後長い事生きていられる保証は無い

こんな体の自分が結婚して、何かあったら・・・・蜜柑を悲しませてしまうのじゃないか

そんな想いが、結婚を思い留まらせる。


こういう事なら、蜜柑ならきっと自分から遠まわしにでも言ってくるだろう。コイツが気にしていないのなら、まだ悩ませてもらおう。

そう思うと、そのまま蜜柑と棗はのんびりと数時間を過した。