「蜜柑、俺と結婚してください」

言われた瞬間、驚きを隠せなかった

「俺は蜜柑に、これからずっと一緒にいて欲しい」

「え・・・?」

言葉とともに、小さなケースを渡される。そのケースには一つリングが入っていた。

「棗、何で・・・。別れたやろ?ウチら」

「・・・っ!」

棗の顔が一瞬歪む。それでも棗はもうゆるぎないその気持ちを蜜柑に伝える

「俺はまだ、蜜柑のことが好きだ、愛してる」

「なつ・・・め」

「お前は、蜜柑は・・・俺の事嫌いになったのか?」

顔をしかめながら、棗は蜜柑に問う。

「嫌いに・・・嫌いになんかなれへんっ。好きや、棗の事、大好きや。だけどっ」

「子供、産んでくれるんだろ?父親は居た方がいいんじゃないのか?」

「棗知って・・・」

止まらない言葉を、一気に言う。後悔、したくないから。

「それに、俺にはお前が必要だ。お前が居てくれない人生なんて、考えられない。蜜柑に別れを言われた時、生きた心地がしなかった。苦しくて、たまらなかった」

蜜柑が受け入れてくれるかは分からないけど、自分の思いをすべて蜜柑にぶつける

今はこの方法しか思いつかないから

「蜜柑が居ないと、呼吸ができない。だからもう一度言う。俺と、結婚してください」

「・・・はい」

蜜柑は泣きながら、二言で返事を返す。棗はその瞬間、自分の思うままに蜜柑に口づけをする

触れるだけの優しい、口付け




「・・・お熱いところ悪いんだけど、人目をもっと気にした方がいいわよ?」

「!!!」

蜜柑はビックリして周りを見る。野乃子ちゃんたちと話をしながら歩いていたここは、けっこう人通りがあり、何人かの人がこちらを見ていた。

蜜柑はそれに気が着くと、顔を真っ赤に染める

「見せ付けてやろーぜ?」

「棗っ!」

「まったく、棗は。俺、確かに自分の気持ちぶつけろとは言ったけどこんなところでやれなんて言ってないよ?」

「うるせぇ」

蛍と流架がくすくす笑いながらこちらをみている。

蛍と、ルカぴょん?

「蛍にルカぴょん!?いつのまにここにおったん!?」

「最初から」

「うそっ・・・!?」

「嘘よ。さっき流架と合流して、ついたら二人がキスしてたのよ」

さっきの行動に今更ながらに蜜柑は再び頬を真っ赤に染める

蜜柑は少し棗から離れようとしたが、棗は離すもんかと言った感じで蜜柑に抱きついてはなれない

「蜜柑ちゃん、よかったね」

さっきから突然話をきられ、どう話しかけようか迷っていた野乃子ちゃんが口を開く

「やっぱり二人は結婚するんだねー。私達の予想、間違って無かったね」

アンナちゃんがそういうと、二人は顔を見合わせてニッコリ笑った

蜜柑はその笑みにつられ、微笑む

「それにしても蜜柑にしろ日向君にしろ、二人が親になるのだと思うとあぶなっかしいわね」

「ほんと、棗がお父さんっ」

「な、ルカ!何が可笑しいんだよっ!」

笑いは絶えない

棗と蜜柑は顔を見合わせると、また笑った



すれ違う想いが、今ここに



アトガキ